蒐集家と収集家
2016/10/03
先日10年ぶりにコレクター氏から「コレクションの一部を手放したい」とのお電話を頂きましたが、アベノミクスが崩壊したようなご時世ですのでお断りしようかと思案しながらお話を聞いていましたら、「以前に○○を買って頂きました」とのことでした。お客さんのお顔は思い出せませんでしたが、お品の○○は強く印象に残っていましたので「お品拝見します」と約束しました。1番気に入ったお品は残念ながらお譲り頂けませんでしたが、それでも7点のお品を譲渡して頂きました。現在は足の速いお品(短期間で売却出来そうなお品)しか買取出来ない経済状況下ですが、昔から不景気は何度も繰り返し経験しました。然し昔昔はそれでも好きな骨董品を買いたいという蒐集家は私を含め結構な人数いたように思いますが、時代が変わり現在は蒐集家が少なくなり、変わってテレビ番組の影響で骨董好きな人は増え大勢の収集家が溢れています。お品を持ち込んだ来られたコレクター氏は、私よりもひとまわりお若い方ですが蒐集家の部類に入る人でしたので、お品は一つ一つ苦労されて購入されたようにお見受けしました。師匠の故安岡路洋先生(何でも鑑定団鑑定人)は立派な蒐集家でした。青森県から岡山県の間の都府県の骨董屋廻りを楽しんでおりましたのが良い思い出です。それにしても先生は健脚で30分位のところは早足で歩き、次から次へと骨董店を訪ね歩きました。まだ骨董祭や露店のない時代でしたので店回りが主でした。先生は膨大な数の骨董品を所有していましたが、生前に「先生間違っても公共の博物館などに寄贈するようなことはしないでください」「私たちのように骨董品集めを楽しみたいと考えている後輩たちの夢を潰さないでください」と何度も何度もお願いしました。あれらのお品はどうしてしまったのでしょうか。